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人間とポケモン〜一緒に居たい〜

著編者 : 窮爽

5つ目  夜明けの語り

著 : 窮爽

イラスト : 窮爽

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「…で、私たちも旅に同行することになったから。」
「わかった。じゃ、このノートにこれからの段取りをまとめてあるから。」
「お前、そんなことまで考えんのかよ・・・」
「無計画で行けと?そんなの私には到底できないわね。」
「・・・ダズルと正反対だな。ダズルはもう直行だから。」
「でも、こいつと気が合うやつっているのか?」
「…?いるけど。それより、電話かけないと。」
連絡後、3人はすみれと同行することになり、ユニオンでも協力してくれることになった。すみれは部屋のテレビ電話につなげた。そして、つながった瞬間―
「すみれさん!!?」
ありかが怒鳴りながら出てきた。それに3人はびくっとしたがすみれはいたって普通だった。
「もう!勝手なことして!」
「あ、連絡することがあるんだけど。」
「…何ですか?」
ありかは急にいつもどおりになり、連絡を聞いた。
「そうですか。皆さんに伝えておきますね。…そういえば、あの3人はしばらくこっちでいることになったので。こちらも心強いですし。」
「そう。…どうしたの?」
「…いや、何でもない。」
レイトはなぜか急に不機嫌な顔になった。すみれはこの時、何があったのか悟った。そして、話に戻る。
「はじめまして。ありかと申します。」
「はじめまして。私はリズミ。オペレーターをやってるの。」
「俺はダズル。トップレンジャーをやってる。」
「…僕はレイト。同じく、トップレンジャーをやってるよ。」
「そうなんですか。皆さん、私服を着ていたからわかりませんでした。では、これで。」
そうして、テレビ電話は切れた。
「…お前、なんかやっただろ。」
「まあ、ちょっとね。」
「すみれらしいというか、なんというか。」
「……」
この時、レイトはまた不機嫌な様子だった。何か、いやなことを思い出したようなそんな表情だった。その明け方―すみれは甲板のほうで海を眺めていた。気持ちよく潮風に当たっていると、レイトが出てきた。
「あ、おはよ。」
「…おはよう。」
レイトはそういうと、すみれの隣に来て、遠くを眺めた。
「…何か嫌なこと思いだしたでしょ。」
「…あぁ。」
レイトはただそう答える。
「…はぁ。それ、よくわかる。何が面白いのかしらね。」
「…何のことかわかっていたの?」
レイトの問いかけにすみれは微笑みコクッとうなずいた。
「・・・ドレイトなんて、面白くやったつもりか?勝手に人の名前にドをつけるなって話だ。」
「確かに。私は言われる前にこっちが話す。で、ほかには何か言われた?」
「…あのさ、僕って何歳に見える?初めてみた時。」
「え?普通に16。私、顔見ればわかるし。一目でわかる。」
「…そう。」
レイトはそういうと、ため息をついた。
「…年下げられたでしょ。」
「・・・その通り。しかも、だんだん下がってきてる。」
「何回かあってるんだ。」
「アルミアで3回。」
「ふーん…」
「あのさ、すみれって馬鹿にされたときってどうしてる?」
「馬鹿にされたとき・・・って言われても、ほとんど言われる前にこっちが言ってるから。たまーに、言われるときは冷静に対応する。」
「ふーん…僕はついつい乗せられてしまう。だから面白がるんだ。…ちょっとすっきりした。ムクホークも心配するし。まだ、寝てるんだけど。…あの時、窓際でさみしそうな顔してたけどあれは?」
「ん?…あぁ、あれ?」
レイトが少ししんみりした顔ですみれに問いかけた。すみれは思い出すように反応した。
「ちょっと、両親のことを思い出してね。」
「両親?」
レイトがそういうと、すみれ絵は少し微笑み、でもどこかさみしげな表情でコクリとうなずいた。
「風のハープって話出たじゃない?両親がね、よくそれに関係した物語を話してくれたの。…今は、いないけどね。」
「そうなんだ…どんな話?」
「じゃあ、話すわよ?」
すみれは少し優しい表情で語り始めた。

世界には3つの力を持った人達がいました。1人は時を読む力。1人は癒す力。1人は心を見る力でした。3人はそれぞれ遠い違う所でそこを守っていました。仲間たちと共に。3人には心から信頼できるパートナーがいました。そのパートナーとの絆が3人の力を引き出しました。3人はそれぞれの力を活用して、どんな困難にも仲間たちと立ち向かいました。それぞれ結婚し、子供が産まれました。しかし、それは罠だったのです。3人の力を利用しようとした者達だったのです。3人は子供を連れ、仲間のもとへと助けを求めました。仲間たちはその者達に立ち向かい、3人を守ろうとしました。しかし、相手は強く、絶体絶命でした。3人は希望の階段を上り、希望という場所にやってきました。3人はパートナー達と子供たちを連れていました。子供たちは歩ける年。1人は希、1人は夢、1人は勇と書かれた台に立ちました。3人は念じました。この世界の素晴らしさを―すると、3人は光り輝き、1人はフルート、1人はハープ、1人はラッパに姿を変えました。パートナー達は念じ、それぞれの主楽器へと吸い込まれました。すると、フルートは氷のフルート、ハープは風のハープ、ラッパは火のラッパへと形を変えました。その時、3人の子供たちに通じたのでしょうか、誘われるようにそれぞれの親の楽器へ手を伸ばし、手に取りました。そして、子供たちは美しいメロディを奏でました。それは、心が癒され、希望、勇気、夢があふれるような音色でした。するとどうでしょう。あたりは自然に囲まれ、美しい姿へと変わりました。相手は清らかな気持ちになりましたが、哀しい気持ちも生まれ、自ら命を落としました。そして、残った人たちは快く過ごせました。それから、3つの楽器は「希望の3神楽器」と呼ばれるようになりました。氷のフルートは希望を、風のフルートは夢を、火のラッパは勇気を与える力があると言われ続けましたとさ。

「これで、とりあえずは終わり。」
「…なんだか、きれいな健やかなおはなしだけど、哀しい物語でもある…」
「えぇ。私の考えだけど、きっと3人はその相手にも幸せになってほしかったと思う。だから、きっと哀しい気持ちもあったんじゃないかしら。」
「そうか・・・でも、なんで奴らは風のフルートを・・・」
「わからない。氷にフルートも取られたし。きっと、何か関係があるかもしれない。」
「・・・ごめん。話したくないこと話させて。」
レイトはそういった。すみれはそれに対して首を振った。
「ううん。そんなことない。私も話せてちょっとすっきりした。…ほら、朝日も出てきた。」
「・・・本当だ…」
「……」
「……」
「…さ、そろそろ中に入りましょうか。」
「うん。じゃあ、部屋に戻ろう。…ありがとう。」
「こっちこそ、ありがとう。」
2人はそういうと、お互いに微笑みながら中へとはいって行った。そんな2人を朝日がやさしく照らすのだった―

5つ目  夜明けの語り

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2011.3.1  22:15:50    公開
2011.3.1  22:48:22    修正


■  コメント (1)

※ 色の付いたコメントは、作者自身によるものです。

今回は特に発展がありませんでした。次回は発展があると。

11.3.1  22:16  -  窮爽  (monoraru)

 

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