はじめに
なぜか育成論が投稿されていない夜ガルガンことルガルガンのまよなかのすがたについての育成論です。
- 努力値の略語(HABCDS)や略称等を使用します。
- ダメージ計算は「ダメージ計算機SM for ポケモン サン/ムーン」様を使用しております。
- 役割の対象範囲が広いとは言えず、また安定感もどうしても欠けてしまうため、ピンポイント気味の運用になりかねません。さらには過去のポケモンに強力なライバルが数多く存在します。ですので、いわゆるガチパ向けの考察ではないことを念頭に置いていただけると幸いです。
方針
昼型との差別化である、
ノーガード、カウンター、きしかいせい
と言った特徴を活かし、また図鑑にも書かれているとおり肉を切らせて骨を断つという、夜ガルガンのモデルになったであろう「あしたのジョー」的戦い方をコンセプトに、この考察を進めていきたいと思います。
役割
狙いとしては襷を利用して相手を1匹以上強引に倒す、となります。襷を活かしたいので、基本的に先発か死に出し、あるいは積み読みでの繰り出しがメインです。
- 襷カウンターで物理アタッカーを強行突破、積み物理アタッカーやこだわってる物理アタッカーを強制停止させる
- ノーガードにより必中となった一致ストーンエッジで弱点を突く
- 襷と相性の良いきしかいせいを最大威力で使用してノーマル耐久型や鋼の耐久型を一気に削る
- 読み合いから積む、ステルスロックを撒く、有利な味方と交代する
主に対物理アタッカー用としての襷カウンターとその副産物として生まれる襷起死回生、それから一致必中ストーンエッジで出来る限り一撃で敵を倒すことを狙うという非常にシンプルでわかりやすい役割です。相手を1匹倒せたなら仕事としては十分だと思います。
しかしそのシンプルさの一方、読み合いも発生しやすいです。無警戒の相手なら問題ありませんが、警戒されると交代、もしくは襷カウンター潰しの弱めの攻撃がとんでくるといった状況が考えられます。そこを読めれば上記の4点目を遂行が可能になるのですが、ギャンブル性が高く、不安定なのは事実です。
それでも物理アタッカーの強力な攻撃に合わせてカウンターが決まりさえすれば撃破がほぼ確実ですので、その威力は絶大です。相手が積むタイミングでの繰り出しや、積まれて突破された後でも死に出しすれば積み物理アタッカーに対するストッパー役になります。また、スカーフのせいで上から殴ることができなかったり、ハチマキのせいで損害が重くなりがちといった、こだわってる物理アタッカーに対して死に出しすることでストッパー役としても機能します。
ただし襷で耐えることが前提のため、詳しくは後述しますが、使用状況に制限がかかることは意識しなければなりません。いくら積みアタッカーでも連続技持ちのパルシェンや特性おやこあいのメガガルの相手は不可能ですし、襷を潰されると安定してカウンターできなくなります。
カウンター成功後は最後っ屁を撃って使い潰すのもいいですが、相手の控えにルガルガンより鈍足かつ格闘技の通りがいい相手がいる場合、ここぞという場面で繰り出して起死回生を放てれば大ダメージを狙えます。ちなみに起死回生は格闘技なので岩技で一致必中のメインウェポンでもあるストーンエッジとの補完性にも優れています。
技構成
カウンター/ストーンエッジ/きしかいせい/選択技
確定技はカウンターとストーンエッジと起死回生の3つです。忘れられがちですが、エッジは急所ランク+1なので通常の倍の12.5%(8分の1)の確率で急所に当たります。
・選択技
- ふいうち 威力70
タマゴ技。夜型の先制技はこれだけになります。相手が攻撃技を選択しないと失敗するためにやや癖があるものの便利です。
- ロックカット
交代、あるいは物理アタッカーの積み技読みで事前に積めれば、カウンターで仕事をした後も最大威力の起死回生を撃ちやすくなります。ちなみに準速ならロックカットを1度積めれば実数値268となり、素早さ1ランクアップの110族も抜くことが可能です。
ただし、読みに成功して素早さを積めたところで肝心の火力が150のエッジと、残り体力で威力が左右される起死回生であるために、積めたとしてその後を突破して積みを活かせるのか若干心許無いのも事実です。
- つるぎのまい
火力不足気味なエッジが大幅に強化されるため、元々の一貫性の高さと必中であることが相俟って突破力は格段に増します。が、素早さが微妙なために先手を取りにくいために、ロックカット同様積めて突破できてもその後活かせるかはあやしいところです。
とはいえ、襷があるため積んでからの強引な突破もできないことはありません。特にSで勝っていて相手に先制技が無い場合は、カウンター警戒の可能性を考慮し、下手にカウンターを狙って弱い技を合わせられるよりも積んで強引に突破を狙った方がいい場合もあります。
- ステルスロック
上記の通り積み技が微妙と言えてしまうために生まれてくる選択肢。撒ければ便利ではありますが、あくまで「撒けたら撒く」ぐらいの考えで使うべきです。カウンターやエッジでの強引な突破を捨ててまで襷を盾に撒くとこの育成論の根幹が揺らぎかねません。もし確実に撒きたい、あるいはより重点を置きたいというのであれば、Sに優れて先制技も覚える昼型を使うか、夜型でやるならば貴重なSから30も割いてわざわざHBDに10ずつ振ってもらった耐久を利用してサポート型を考察する方がいいと思います。
- ちょうはつ
Sがあまり高くないために使いにくいですが、鈍足の耐久型やまともに殴ってくる気配が無い相手の場合には生きてきます。次のターンに交代しない限りは確実に攻撃技が来るのでカウンターに繋げることも可能ではあります。とはいえ、技スぺは厳しいのと読みが外れて襷が潰されると苦しいこともあって優先度は低めと思われます。
他に4倍狙いのほのおのキバが候補に挙がりそうですが、4倍をついても道具で威力を強化しないとメガハッサムもナットレイも耐久無振りですら一撃では落とせないため候補から外しています。そもそもメガハッサムもナットレイも鋼技を撃ってきてくれればカウンターで事足りますし、一撃で仕留めきれない以上どちらにしろナットレイにある程度の仕事をさせてしまうことになります。
とにかく、地震を覚えない、先制技はふいうちのみ、一致技の最高打点がストーンエッジと、起死回生を格闘技として見た場合は格闘技と岩技の補完で一応優れているものの、ロックカットでSを補っても突破が保証されるほどの火力があるわけでもなく、剣の舞を積んでも抜くには微妙なSであり、有効範囲も広いとは言い難い状況です。そのため、強引に1匹を持っていけるカウンターの比重は自ずと重くなると思われます。
調整、持ち物考察
- 特性:ノーガード
- 性格:さみしがり(A↑B↓)
- 理想個体値:H0(逆V)、A31、B0(逆V)、D0(逆V)、S31
- 努力値:A252、S252
- 持ち物:きあいのタスキ
特性はノーガード一択です。
性格は不足気味の火力を補いたいためにA上昇。その上で、弱めの攻撃であってもカウンターで返せるダメージを少しでも増やすためにBダウンの性格であるさみしがりを選択し、Bの個体値も逆Vが理想になります。
また、HとDも逆Vにすることで受けるダメージを大きくしやすくし、少しでも起死回生の威力を上げるという目的で逆Vを理想にしています。この場合の最大HPは145であり、カウンターのダメージとしては十分です。ただし、地球投げを3回耐えられないという問題が発生するため、気になる方は避けてもいいと思われます。その場合は151に調整できるのがベストでしょうか。
昼との差別化に振られた種族値のHBDが足を引っ張るという皮肉な形になっています。
努力値はAとSにぶっぱ。やはり火力の補強と、82という微妙とも絶妙とも言えるS種族値のため、準速80族やそれを抜くための4振りを抜くために全振りです。80族には抜群を取れるシャンデラがいる他、すぐ下の81族にギャラドスがいるため、それらが準速の場合は抜くことができます。余りは振り先が無いのでCで。
なお、Sに補正をかけて最速にする、という選択肢もあります。火力低下のデメリットが非常に重いと考えたので、本考察ではA補正で考えています。
- メリット
・メガギャラドスに対して強気に後出しできる(後出ししたターンが竜舞の場合は次ターンカウンター、滝登りや地震の場合は襷からの起死回生で確一、メガ化しないZ技持ち等の場合はエッジで確一)
・最速シャンデラ、最速ヒードラン等81族以下の最速をスカーフが無ければ確実に抜ける
- デメリット
・火力の低下(H252アローラガラガラが乱1で75%→25%へ大幅低下、対面からカウンター抜きで倒せる可能性のあったH252テッカグヤの突破不可等)
持ち物は襷で確定です。
注意点
残念なことに弱点が非常に多いです。役割対象がピンポイント気味で起死回生も条件付き高威力なため、柔軟性と安定性に欠けてしまいます。当然と言えば当然のことかもしれませんが、見せ合いの段階で出せるか出せないか、出せるとしたらどの相手にどの役割を担えるのかを考えるのが重要です。
以下気をつけるべき点になります。
- 襷潰し
カウンターも高威力起死回生も襷が前提となるため、襷が発動すらできないのは死活問題に直結します。気を付けなければいけないのは大体以下の通りです。
・猫騙し
・ステロ、まきびし
・連続攻撃
・状態異常、特にエッジも弱体化する火傷
・あられ(砂嵐はノーダメージ)
特にあられはアローラキュウコンが出てきて起こる場合が大いに考えられますが、オーロラベールを張られるとエッジで一発で落とせなくなる上に、絶対零度を覚えられていたりするとノーガードによって必中一撃必殺です。エッジ→ふいうちでも落とせないので相性は最悪になります。
また、カウンター自体は決まるものの、接触技のために鮫肌、鉄のトゲ、ゴツメの相手とはよくて相打ちが限界になります。
- 弱い物理技
いわゆる頑丈メタバの対処法で、物理技であっても弱い攻撃ならばカウンターされても耐えられて襷の効果を失わせられるので、次に強力な攻撃で一気に倒すという方法です。これに対抗するためにBマイナス補正の性格と個体値逆Vが理想なのですが、それでもまともに返せないためにつらいところがあります。ただある程度カウンターできたなら、次のターンにエッジかふいうちで落とせる可能性もあります。
- 対特殊タイプ
エッジで弱点がつけるならそのまま押し切ればいいですが、それが無理な場合はそもそもカウンターが打てないために突破力が確保できません。相手の選出候補や自分の控えと相談して、素直に引いて味方に任せるか、襷を盾にエッジで突っ張るか、やはり襷を盾に積んで突っ張るかあたりの選択になります。
- 対ゴーストタイプ
そもそも格闘無効なので、ダダリンやミミッキュは物理型でもカウンターできません。ばけのかわを剥しても、無振りミミッキュでさえエッジで確一取れないので引く方がいいですし、出てきそうな場合は選出を控えるのもひとつの選択です。一応ゴーストタイプにふいうちが抜群にはなりますが、ふいうちは特有の癖があり、また鬼火が飛んでくる可能性が大いにありうるためあまり戦いたくないというのが本音です。
差別化
カウンターさえ覚えれば襷カウンターは可能なため、当然のことながら襷カウンターができるポケモンは結構な数存在します。
特にメガ化も可能なために型を読まれにくく、結果カウンターを決めやすいヘラクロス、ルカリオ辺りが非常に強力な存在です。彼らも起死回生も覚えますが、それよりも使い勝手が良い一致インファイトを覚えるため、カウンターを前提にすることなく柔軟に立ち回ることが可能です。他にもヘラクロスならメガホーン、ルカリオなら豊富な先制技と強みが多いです。
それに対してルガルガンは一致必中ストーンエッジという点で差別化が可能です。命中不安が原因でエッジの採用を見送るという場合まであるため、何の気兼ねもなくエッジを採用できるのは強みになります。
とはいえ、エッジを除けばどうしても襷前提でのカウンターと起死回生頼みになってしまうために、柔軟性という点では他に劣っていると言わざるを得ない状況です。
与ダメ
- ストーンエッジ
H4ギャラドス 122.8%〜145% 威嚇込み 81.8%〜98.2%
無振りウインディ 124.8%〜149% 威嚇込み 83.6%〜99.3%
H252ウインディ 104.5%〜124.8% 威嚇込み 70%〜83.2%
H252アローラガラガラ 94.6%〜112.5%(乱数1発75%)
H4メガボーマンダ 80.7%〜95.9% 威嚇込み 53.8%〜64.3%
H252テッカグヤ 41.1%〜49%
H252シャンデラ 112.5%〜134.1%
H252ペリッパー 104.1%〜123.3%
H252グソクムシャ 72.5%〜85.7%
H4アローラキュウコン 146.3%〜173.1% ベール時 73.1%〜86.5%
H4ミミッキュ 78.6%〜93.8%
H252ボルトロス 123.6%〜146.2%
H252メガリザードンX 85.4%〜101.6%(乱数1発12.5%)
- きしかいせい(威力200で計算)
B補正HB252輝石ポリゴン 61.4%〜72.9%
B補正HB252カビゴン 80.1%〜95.1%
B補正B252カビゴン 91%〜108%(乱数1発50%)
B補正HB252ハピナス 111.6%〜131.4%
B補正HB252ナットレイ 76.2%〜90.6%
H252ヒードラン 110.1%〜130.3%
H252ジバコイル 115.2%〜136.7%
H4メガギャラドス 125.1%〜147.3% 威嚇込み 84.2%〜99.4%
H252テッカグヤ 54.9%〜64.7%
- ふいうち
H4メガボーマンダ 19.2%〜22.8% 威嚇込み 12.8%〜15.7%
H252ウインディ 24.8%〜29.4% 威嚇込み 16.7%〜19.7%
H252グソクムシャ 17%〜20.3%
H4アローラキュウコン 16.7%〜20.1% ベール時 8%〜10%
B4ガブリアス 22.9%〜27.3%
無振りメガゲンガー 72.5%〜85.9%
被ダメは襷前提の耐久となるため省略します。
相性のいい味方
特殊が対処しにくいので、それらを何とかしてくれる味方との相性がよさげです。あるいは抜き物理アタッカーに対してストッパーの役割を持てるので、その役割が不足しているパーティや、必中一致エッジを活かして岩タイプが必要というパーティに組み込むのがいいでしょう。
終わりに
以上、夜ガルガンことルガルガンのまよなかのすがたについての考察でした。昼型との差別化でHBDに10ずつ振られた分がAに振られていれば、ロックカットから必中エッジを振り回してもう少し活躍できる可能性があったかもしれないことが悔やまれてなりません。
それでも襷カウンターによる必殺の倍返しと、襷起死回生の大ダメージ、そして何より必中一致のストーンエッジは夜ガルガンの貴重な強みだと思ってこの育成論を書きました。独特な雰囲気を持つ夜ガルガンに興味を持ってくれる方が増えると嬉しいです。